あなたが読んでいるその小説、もしかするとAIが書いたものかもしれません。現在、AIによる小説の制作が活発に行われています。しかし多くの方が、AIによる執筆は趣味やお遊び程度のものと思っているようです。
ところが大手出版業界や新聞社主催の文学賞では、AIを用いた作成された小説の入賞や書籍化がはじまっています。人間に代わってAIが書いた文章には、どのような可能性があるのでしょう。
今回は、AI文章・小説作成アプリケーションソフトウェアAIノベリストの解説と、あわせてチェックしたい無料AIソフトをご紹介します。
「AIのべりすと」とは?
「AIのべりすと」はゲームクリエイターの Sta氏が Google TRC の協力のもと、何百万の文庫本からAIを訓練させて制作したAIノベルライターです。AIの力を借りて、誰でも簡単に理想の小説を書くことができます。
試しに筆者がAIのべりすとで生成した文章がこちらです。
吾輩は猫である。名前はまだない。
そんな吾輩であるが、数日前にマタタビを追いかけて走り回っていたらトラックに轢かれてしまった。これは本当にたまたまだったのだが、運が悪かったというかなんというか…………。何にせよその結果、中世ヨーロッパのような世界に転生してしまったのである。
いかがでしょうか。初めの2文以降をAIが自動生成しました。実際に使ってみると、前の文章の雰囲気や書き方を残しつつ続く文章がごく自然なものになっており、AIが書いたとは思えないクオリティーです。さて、このサービスが小説やノベルを書く上でどのようなメリットがあるのでしょうか。
「AIのべりすと」について
基本情報
開発元 |
独立系ゲームデベロッパーSta(すた) |
対応OS |
WebブラウザベースのためすべてのOSで利用可能 |
主な対応言語 |
日本語 |
公式サイト |
https://ai-novel.com/ |
主な特徴
- ユーザーが数行の導入文を入力することで、AIがその文脈に基づいて物語を生成します。これにより、誰でも簡単に小説を書くことが可能です。
- 文章生成のスタイルを選択できる機能があり、デフォルトモードではAIが自由に書きます。セリフ重視やナラティブ重視のモードも選べます。
- 特定のキャラクターや設定を記録し、物語中でその情報を参照することができます。これにより、一貫したキャラクター設定が可能になります。
- メモリ機能では重要な情報を保存し、脚注では詳細な指示や追加情報を提供できます。これらはAIによる文章生成において重要な役割を果たします。
- フォントや文字色、背景色などのデザイン面を調整できる機能があります。これにより、快適な執筆環境を整えることができます。
- AIによる画像生成機能も追加されており、プロンプトを入力することでイラストを生成することができます。この機能は特に視覚的な要素が必要な創作活動に役立ちます。
- 無料会員でも商用利用が可能ですが、有料会員になることでより多くの機能や出力回数制限の解除などのメリットがあります。
基本的な使い方
アカウント作成
AIのべりすとは、アカウントを作成することで利用可能です。
モード選択
AIのべりすとには、小説モードとチャットモードの2つの執筆モードがあります。
- 小説モード:テーマや導入文を入力すると、AIがその続きの文章を生成します。
- チャットモード:キャラクターとの対話形式で文章を生成します。
文章スタイル設定
さらに、生成される文章のスタイルを設定することができ、デフォルトの設定から自由な展開までが選択可能です。
小説を書くのに役立つ便利なポイント
AIのべりすとは、豊富な小説から学習された非常に博識なAIソフトウェアです。そのためただ文章を書き連ねるだけでなく、様々な目的で使用することができます。
アイデアを出してくれる
小説のアイデアを出してくれるのはもちろんのこと、次のように面接の練習として活用することもできます。
AIのべりすとに、続くQ&Aを考えてもらいました。
Q.志望動機を教えてください。
A.父は建築業界で働いており、近くでその光景を見ていた私は自然と同業に就くことを夢見ていたからです。
Q.休みの日は何をしているか教えてください。
A.休みはほとんど外出せず家にいます。
Q.希望年収を教えてください。
A.500万円です。
面接で聞かれる質問を予想することは難しいですよね。しかしAIのべりすとで予め予測をしておけば、本番でも焦らずに受け答えができます。
キャラクター設定ができる
物語におけるキャラクター作りは時間をかけて綿密に設計されていきます。登場人物がストーリーを展開していくからです。AIのべりすとを使用すれば、思い描くキャラクターの名前やセリフを入力するだけで、時間をかけずに自動でキャラクターの文章を生成させることが可能です。
その他の興味深いAIソフト
AIによるクリエイティブな創作活動は文章を書くことのみとどまらず、絵を描いたり背景に使用できるCGのような画像を作成することもできます。AIをより使いこなしたい方は、次のソフトもチェックしましょう。
NovelAI
NovelAIは、AIノベリストと同じく小説を自動生成できるツールです。文章を英語で生成できるのが大きなポイントで、英語学習をしたい方にもうってつけです。GPTというデファクトスタンダードの言語処理AIを用いているので、ごく自然な表現を可能にします。
対応OS
- Windows 10以降
- MacOS環境
- Linux環境
- iOSおよびAndroidデバイス
料金
料金プラン |
価格 |
フリートライアルプラン |
無料 |
タブレットプラン |
$10/月 |
スクロールプラン |
$15/月 |
オーパスプラン |
$25/月 |
主な特徴
- ユーザーはテキストプロンプトを入力することで、希望するイラストを生成できます。プロンプトには詳細な指示を加えることで、より理想的な画像が得られます。例えば、「桜の背景に浴衣を着た女性」といった具体的な指示が可能です。
- 短いテキストから物語を生成する機能もあり、物語のキーワードを入力するだけで文章を作成できます。これにより、ユーザーは自分のアイデアを簡単に形にすることができます。
- 画像生成時には、サイズや枚数、プロンプトの忠実度など、多くの設定が可能です。特に、プロンプトガイダンス値を調整することで、生成される画像の詳細度やスタイルを変えることができます。
- 2024年には新たに「スクリブラー」機能が追加され、画像の全体的な2D形状を取得し、構図を決めるためのガイドとして使用できるようになりました。この機能は特に漫画制作などで役立ちます。
メリット
- NovelAIは、少ない指示で高品質なイラストを生成できるため、特にアニメスタイルの画像生成に強みがあります。プロンプトに対する感度が高く、ユーザーの意図を反映しやすい点が特徴的です。
- NovelAIは絵を描いたことがない初心者でも簡単にイラストを生成できるため、多くの人が利用しやすい環境が整っています。
- また、生成された画像については著作権を放棄しており、商用利用も認められています。
- NovelAIではプロンプト設定や参照画像の追加など、高度なカスタマイズが可能で、ユーザーの理想に近い画像を生成するための機能が豊富です。
デメリット
- NovelAIでは、画像生成機能は有料プランに加入しないと利用できず、無料トライアルはテキスト生成のみです。これによりコストがかかる点がデメリットといえます。
- サービスは主に英語で提供されており、日本語対応は一部のみです。これにより、日本語話者には使いづらい部分があります。
- NovelAIはアニメ風イラストには強いものの、実写系の画像生成には限界があります。リアルなスタイルを求める場合には他のサービスを検討する必要があります。
- 生成されるイラストはプロンプト内容に大きく依存しており、思い描いたイラストを正確に再現できない場合があります。特に細部(服装や髪型など)の描写が難しいことがあります。
まとめ
AIで大作家が生まれる時代がそこまで来ているのかもしれません。これまで小説を書ききることができなかった方や、AIの力を借りて新人賞に応募したいという方は、AIのべりすとを試してみませんか?